鼻血や月経など予期せぬ出血で衣類が汚れてしまうこと、良くありますよね。
衣類に染み込んだ血液は時間が経つと固まってしまい、汚れが落としにくくなる性質があります。一度固まってしまうと汚れが水に溶けにくくなってしまうため、通常の洗濯ではシミが落ち切らなくなるケースになることも。
本記事では時間が経って固まってしまった血液による汚れを綺麗に洗濯する方法についてまとめました。
- 血液による汚れは「たんぱく質汚れ」
- 血液は水溶性たんぱく質。固まる前なら水で洗い流そう
- たんぱく質汚れには酵素「プロテアーゼ」が有効
- 時間経過で固まった頑固な血液シミを落とすには?弱アルカリ性の洗剤で対応しよう
血液による汚れは「たんぱく質汚れ」
そもそも洋服・衣類に付着する汚れにはどのようなものがあるかご存知ですか?
- 人体による汚れ(汗腺、皮脂腺からの分泌物、皮膚表面が老化した表皮角質層片、血液、人乳、排泄物など)
- 生活環境による汚れ(塵埃、粘土物質、煤煙、鉄粉、飲食物、化粧品、機械油、塗料、墨汁など)
- 細菌、カビなどの微生物
これらの中でも人体による汚れはたんぱく質を含むため、化学的には「たんぱく質汚れ」として扱われます。血液の汚れはたんぱく質汚れです。
血液は水溶性たんぱく質。固まる前なら水で洗い流そう
たんぱく質汚れとなる血液ですが、水に溶ける「水溶性」という特徴があります。
そのため血液が衣類についた直後の固まる前の状態であれば、水で汚れを流し落とすことができます。
ただし、血液が乾燥して固まってしまうと水に溶けにくくなるため、洗い落とすことが難しくなります。
上記画像は固まってしまった血液汚れ。手洗いしても輪郭部分が残りやすい傾向があります。
血液汚れ落としに熱いお湯は逆効果!血が固まるので止めましょう
油汚れをイメージして「頑固な汚れを落とす≒熱いお湯が有効」と考える人が多いのですが、これは間違い。たんぱく質汚れに熱いお湯は逆効果です。
高温によりたんぱく質が固まってしまい、余計に汚れが落ちにくくなります。
生卵が熱せられて固まり、ゆで卵になることを考えてもらえば理由がわかるでしょう。血液汚れは水~ぬるま湯で対応しましょう。
たんぱく質汚れには酵素「プロテアーゼ」が有効
汗や垢、血液などのたんぱく質汚れですが、これらの洗浄には酵素「プロテアーゼ」が有効です。プロテアーゼはたんぱく質を分解する酵素です。
固まってしまった血液の汚れ・たんぱく質汚れにもプロテアーゼは有効です。
洗剤の成分表をみて「酵素」と書かれている酵素入り洗剤を使うと効果があります。
トップやアタックネオなどですね。プロテアーゼが含まれています。
- プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)
- リパーゼ(脂肪分解酵素)
- アミラーゼ(デンプン分解酵素)
- セルラーゼ(繊維分解酵素)
上記は主に洗濯洗剤に使用される主な酵素です。
洗剤の成分表には「酵素」と書かれているだけで「プロテアーゼ」「リパーゼ」というように個別の酵素名はかかれていません。書かれていませんが、上記の4種類はほぼ含まれていると考えて問題ありません。
ちょっとした血液シミであれば
- 水洗いで対応
- 酵素入り洗剤による洗濯
上記できれいになるケースも多いです。
※大根おろし、すりおろしたショウガで血液汚れが落ちる、などと書かれているWEBサイトもありますが、お気に入りの衣類に大根おろしやショウガを付けるのは嫌ですよね...(´・ω・`)
時間経過で固まった頑固な血液シミを落とすには?弱アルカリ性の洗剤で対応しよう
衣類に血液が付着してから時間が経ち、ガッチリ固まってしまった血液シミ。部分的な揉み洗いをしてもなかなか落ちません。
そのような時は、弱アルカリ性の洗剤を使ったつけ置き洗いを行いましょう。
具体的には「過炭酸ナトリウム」「セスキ炭酸ソーダ」のような「酸素系漂白剤」が有効です。
これらはたんぱく質汚れを落とし、かつ漂白効果もあります。
汚れ具合により、つけ置きする時間を調整して下さい。半日~1日も置けばかなり綺麗になるでしょう。その後は通常の洗濯を行ってください。
過炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ソーダは重曹と同様、色々な用途で利用が可能です。購入しておくことをお勧めします。
「過炭酸ナトリウム」利用時の注意点
たんぱく質汚れに強い弱アルカリ性の過炭酸ナトリウム。アルカリはタンパク質を溶かします。そのため以下の点に注意してください。
- 絹・毛などアルカリに弱いタンパク繊維でできている衣類の洗濯・漂白を行うと痛めてしまう可能性がある
- 手の荒れやすい方はゴム手袋をしての作業が推奨される
- 衣類や洗剤・商品の仕様上の注意を必ず読んで指示に従うこと
特殊な衣類が汚れてしまい、自分で汚れを落とすことが難しい場合はクリーニング店に相談しましょう。
以上、衣類に付着し固まった血液シミを落としたい!たんぱく質汚れの除去方法について...という話題でした。